国連の勧告について思うこと その2(精神科強制入院の廃止)

こんにちは。
外資系の療育機関で子どものサポートをしている、作業療法士のゆこです。

国連、障害児の分離教育中止要請 精神科強制入院、廃止も(Yahoo!ニュースへ飛びます)
このニュースについて思うこと、その2。(その1はこちら)

日本の精神科医療の現状

以前私も、大きな精神科病院で働いていました。病棟は10以上あり、閉鎖病棟がその半数ほど。
救急や措置入院も受け入れる、その地域で中心的な役割をしている病院でした。

長期入院の病棟を担当することが多かったのですが、病院ができたときから入院しているような、数十年退院でそこで「暮らして」いる人もいました。

日本における人口あたりの精神科の病床数は、世界一多い。
全世界の精神科病院のベッド数合計の、約20%が日本にあるそうです(人口は2%)。

そして、世界的に精神科の病床数は減少させる傾向にあるのに、日本だけはその水準を維持している。
世界から見たら特異な存在ですよね。

そして、精神科の入院形態には、任意入院、応急入院、医療保護入院、措置入院の4つがあります。
こちらを参照しました:厚労省サイト)

任意入院以外は、本人の同意ではなく、家族や、都道府県知事の権限による入院。
日本ではなんと任意入院の割合が約50%。
要するに、自分の意志ではない精神科の入院患者さんが半数いるということです。

その中でも「医療保護入院」という、精神保健指定医(又は特定医師)の診察及び家族等のうちいずれかの者の同意を得ての入院が一番多い。
国連は強制入院の中でも、この入院の廃止を勧告しているのではないかな?と思います。

なぜ医療保護入院になるのか?

個人的な意見としては「家族や、地域で対応しきれないから」ということになると思います。
そして、精神科の疾患を持った方が、適切な環境で、支援を受けて生活をしていないから。

患者さんからすると、入院するかどうかの判断もつけられないほどに症状が現れていて、
つらくて仕方ない状況。何とか助けてほしい。

その対応が、「はい、じゃあ入院しましょう」では納得いかない。

じゃあどうすればよいのか?
私の意見は
①専門家がかけつける(その人と関係の取れているひとだとなおよし)
②時間がかかっても、その場で対応する
③いったんその場を離れる(行き先は病院ではない)
かなと思います。
支援する側はすごく大変だと思います。
だって、病院に来てもらったらなんでもそろっているから色々対応ができる。
でも「地域移行」を掲げている上で、その大変さは覚悟すべき。

そして、その場で診察したり、必要ならお薬の力を借りたり。
判断力が戻るまでの最善を尽くすべきかなと思います。

家族と住んでいるなら、患者さんではなく家族がいったん家を出るのも一つの方法。

精神障がいを持った方が地域で暮らすために

これは永遠のテーマだと思います。
特別支援教育ともかぶるところはあると思います。

地域でのサポートが充実すること。
早期発見のシステムを作ること。
患者さんも、自分自身のことを知ること。
それぞれにぴったりの場でぴったりの支援を受けて過ごすこと。

そして、日本人一人一人が、障がいに対する正しい知識を持つ必要があると思います。
精神科とか、知的障害とかに関しては昔からの社会的なイメージがまだまだ強く残っている。

チャリティでも、テレビでも、難病は取り上げられがちです。
でも、一番知識を持たないといけないのが、「精神障がい」「発達障がい」の分野。

一番見えにくいし、わかりにくいし、理解しにくいからこそ、
「障がい」という言葉もあまり使いたくないし、使わない世界になっていくといいなあ。

精神障がいにしろ、発達障がいにしろ、その「障がい」(とこちら側が思っていると)は
彼らにとっては、普通のこと。
それが、環境と、社会と、他の人とマッチしない、うまくいかないから「障がい」になってしまう。
決して彼らが障がいを持っているわけではないのだと思っています。

理解することで低くなる障がいもあるし、乗り越え方がわかる障がいもある。
このブログもそのために何かできたらいいなと思っています。

以上、読んでくださりありがとうございました!

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